■ しあわせを 『無限化』 してみよう






一人前の神さま になるために、
ネックミューラー を監督する…


そのために まずは、

ふき が、彼らとの話し合いを
どう感じているか?
を確認するべき


と、かみね は考えました。




やっぱり重要なのは、

『顧客満足度』 の把握

ですよねっ



胸をはって そう言う
かみね のスマホの画面には、

『尊敬される 上司』
『管理職 初めて』


などの言葉で
検索されたネット画面が

開きっぱなしに
なっていましたが…






そこで ふき は、かみね に、

ネックミューラー との
話し合いの中で、

自分が自信を持っていた
「しあわせ」 を全否定
されて、

ショックというか、
悲しくなってしまいましたよ〜


といった感想を、

やや大げさに
語って聞かせました。








ふき としても、決して、
ネックミューラー の話が
分からないわけではなく、

むしろ、彼らと暮らす日が
積み重なっていくにつれて、

少しずつ
「今までの自分自身」 への疑問
も わくようになって
来ていたのですが…



なにしろ 連日のように、

2匹に ほぼ一方的に
ケチョンケチョンに
言い負かされてきたので、

ウップンも 積もっていたのです。





すると、

ふき の話を聞いている
かみね の目に、

みるみる涙が
たまっていきました。



ヒドいっっ!

ふきさん が大切に
していた 「しあわせ」 を、
2匹がかりで否定するなんてっ!


こんなの まるで
イジメじゃないですかっ!





突然、かみね
激怒 & 涙目 になられ、

ミューラー
ショックを受けてオロオロ…

ネック は、「けっ」 と
ウザそうな顔で
舌打ちをしました。


  







わたし…

ミューラーさん だけは、
信じていたのに…



かみね としては、

ミューラー が、
ふき の家に来る前に
1ヶ月ほど おこなっていた

「人間についての勉強」 に
付き合っていたこともあって…


裏切られたような気持ちに
なってしまったのでしょう。




あたしは 信じてないんかい…

ネック としては、

ミューラーさんだけは」 の部分に

カチン と来たようですが。






い、いやいや、かみねさん!

私たちも 決して、
ふきくん をやり込めようとして、
あんな話をしていた
わけではないのです。



ただ…





最後の 「ただ…」 に反応して、

ふきが怪訝(けげん)な顔つきで、

かみね が涙にうるんだままの目で、

トンビ紳士の顔を見つめました…


  






ふきくん が 私たちに
主張されていた 「しあわせ」 は、

「しあわせ」 の本体
では無かったのです…


『本当の しあわせ』
からのびている枝葉


だったのですね。





それで私は…

おそらく ネックさん も、

あえて、ふきくん の
主張する 「しあわせ」 の、

『穴』 を指摘をさせて
いただいたわけなのです。





てっきり、自分の幸福観を
単純に 『否定』 されてきたのだと
ばかり思っていた ふき には、

寝耳に水の言葉でした。





『枝葉』… というのは…?

ミューラーさん?





はい。

植物にとって、

枝や葉っぱも
もちろん大切なもの
ではありますが…

それらは 元をたどれば、
『幹(みき)』 から生えているもの、
と考えられます。




何かの物事を思考したり
行動するときも、

幹を… 物事の 『本体』 を
直視して言動しなければ、

『本質』 を、見誤ってしまう…



どんなに正しそうに見えても、
どこかに穴や矛盾が
発生してしまうものなのです。




実際、

見誤りまくり
だったもんねぇ、ふき




ネック が茶化しましたが、

『枝葉』 という言葉に、

ショックと同時に
ガゼン興味のわいてきた
今の ふき には、

聞こえていないようです。









ふきくん が今まで
「揺るぎない しあわせ」
だと感じていたものが、

実は、『枝葉』 に すぎなかった…


その事実を
ご理解いただくために、

今から1つ、
実験をしてみようと思います。




つまり、

ふきくん の主張する
「しあわせ」を、

『無限化』 してみる
のです。






そう言って、
ニッコリとほほえんだ
ミューラー は、

ホテルマンが お客を
案内するようなポーズで、

羽根を、リビングの
真ん中に向けて
のばしました。



「こちらでジックリ
お話ししましょう」


という事のようです。






それにしても、

『無限化』 とは一体…?




ふきたち は、
ほのかな不安と好奇心に
背中を押されるように、

トンビ紳士とともに輪になって、

部屋の真ん中に
座ったのでした。


 
 









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