■ 「夢」 を、単なる人生の
アクセサリーにしていない? (1/5)







昨夜は、故郷の 「妻」 の
夢を見ました。


うちを離れてから
まだ1ヶ月ほどしか
経っていないのに、

早くも ホームシックでしょうか…





皆で、朝食のテーブルを
囲んでいるとき、

ミューラー は ちょっと苦笑しながら、
そんなことを言いました。



でも、その苦笑の中には、

夢の中とはいえ
愛する家族に会えたことへの、

ほのかな うれしさが
にじんでおりましたが…






…「夢」?


そうだ!

そういえば、まだ
『夢』 についての話し合いを
してなかったよね?


寝てるときに見るやつじゃなくて、
「将来について」 のほうの、夢の話!





ふき の顔がパッと輝きました。


が、それ以上に輝いたのは、
ミューラー の表情でした。




「将来の夢」 ですね!?

ぜひ お話を聞かせてください!


私も勉強してみて驚いたのですが、

人間さんたちは、
自分の長期的な将来を想定し、
目標を立てる行為
を、

『夢』 と呼んでいらっしゃるのだとか…







お恥ずかしながら、私たち動物は、
目先の1日1日を
生きのびるのが精一杯で、

「将来」 という概念すら
持つ余裕がありません…



「夢」 は、

進化した大脳新皮質 を持ち、

それを実現できる可能性をもった
社会 を構築できている、
人間さんたちだけに許された

本当に素晴らしい
能力・特権の1つ
と言っても
過言ではないでしょう。






ミューラー の感嘆に、

ふき は、「ふっ」 と、
ニヒルに笑いました。




はっはっは、いやいや、
それほどでもないですよ…


我々人類など、
まだまだ ちっぽけなものです。





そんなふうに
図々しく謙遜(?)する ふき を見て、

ネックミューラー
デジャブ を感じるのでした。


  









そういえば ふき

あんた この前、
「自分の夢」 について
話してたよね?


あたし、どうでもよかったから
聞き逃してたんだけど、

あれ、もう1回 聞かせなさいよ?






どうでも よかったんかい…






ふき は ちょっとイラリとしましたが、

「夢」 を語る という行為は、
何度やっても楽しいものですし、

ミューラー に話すのは、
もちろん 今回が初めてです。




そこで ふき は、
コホンとセキばらいをして、

姿勢を正して、
トンビと白猫のほうに向き直りました。








オレの夢は、

ゲーム企画者として、
30歳ぐらいまでにドーン!と
大きな実績を上げる
ことです。


具体的には、家庭用ゲーム機で
最低 100万本ぐらい売れる
ゲームを出す
とか、

スマホで 累計 1000万回ぐらい
ダウンロードされるゲームを作る
とか、

そんな感じですね。


ゲーム業界の歴史に名を残す、

そんな作品を作ってみたいものですねぇ。






で、30歳半ばぐらいまでには、
自分の会社を作って独立
かな?


その後は、自分の会社で稼いで、
45歳か、遅くても 50歳ぐらいには引退して、

あとは それまで稼いだ金で、
死ぬまで悠々自適に暮らせればなぁ、

ぐらいに考えてますね。


これが今のところの、オレの夢…

「人生設計」 というやつです。






語りながら興奮してきて、
たまに 「くふ、くふふ…」
含み笑いする ふき を、

ネック が、
「知らんがな」 という顔つきで
見つめています。










ふき が夢を語り終えて、
満足の ためいきをもらすと、

ミューラー も また、
深々と感嘆の ためいきを
もらしました。




う〜む… 素晴らしいです。

今後 20数年間にもわたる長期の夢…

「人生の目標」 が、
そこまで固まっておいでとは…


鳥とはいえ、
私もオスだからでしょうか?

ふきくん の夢を聞いているうちに、
なにか こう、体の中の血が
燃えたぎってくるような感覚

がありますね…!





めずらしく熱く興奮し、
体温が3度ほど
上がってしまっているトンビ紳士を、

ネック が、
「知らんがな」 という顔つきで
見つめています。












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