■ 恋は、一生続く可能性のある人間関係 (1/5)






ただいま〜。

いや〜、楽しかったな〜〜。




そんなことを言いながら
リビングに入ってきた ふき を、


ネックは、
ニヤニヤしながら…

ミューラーは、
ちょっと困ったような顔で、

迎えました。


  






…どうしたの、その顔??


当惑する ふき に、

ネック が鼻で笑いながら、
こんなことを言いました。





「デート」 お疲れさん、ふき

あんたの
『かけがえのない彼女』、
見せてもらったよ?



あんた、まるで
あの女の家来だね〜。





ふき は、

のどの奥から 「グガッ」
意味不明の悲鳴を上げて、

そのまま 30秒ほど
硬直してしまいました。










実は今日、
ふきくん の いない間に、
「かみね」さん が来たのです。


ふきくん がデートに
行っていることを伝えたところ、

「実物のデートを 見たい見たい」

と、おっしゃって…





それで、「神通力」…
と言うのでしょうか?


なにか不思議な力で、
デート中の ふきくん の姿を、
このリビングに
映画のように映し出して、


我々3匹で、
拝見させていただいたのです。






ふき はショックで、
意識が スーー… と
消えかけました。



が、「いちいち気絶されては厄介」
と判断した ネック が、
すかさず弁慶の泣き所に
ツメを一閃
したので、

絶叫とともに
覚醒することができました。


  










てか、何なの??

その 「かみねちゃん」 って?



足の痛みと、
デートを覗かれた悔しさで
半泣きになりながら、

ふき は たずねました。





私や ネックさん に、
「人間さんたちのような知能」
を与えてくださった、

「キツネの おじいさん」
という方が いらっしゃるのですが…


その方のもとで
お弟子さんをやっている、
キツネの娘さん です。

素直な、愛らしいかたですよ?





素直なのは良いけど、
「覗き」 の欲求も
抑えられないような素直さ

は、ちょっとなぁ…



と、やや不快になった
ふき でしたが…



落ち着いてくるにしたがって、
先ほど ネック が発した言葉が
脳裏によみがえってきて、

「あっ!」 と声を上げました。






そ、そういえば ネックさん!

さっき、意味不明なこと
言ってたよね?


オレが 彼女の 「家来」 って、
どういうこと!?




「家来」 という単語を
あらためて口にしてみると、

その理不尽なミジメさに、
心が イラリ としてきます。



ところが、




…あ、いえ、ふきくん。


実は私も、
デートの様子を拝見して、

似たような感想
抱いてしまいました…




ミューラーまでが、

遠慮がちとはいえ、
そんなことを言い出すでは
ありませんか。









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