★ 生意気な白猫を お持ち帰り (1/8)
(ネック登場)







冬まっただ中の、1月

その 夕暮れどき




普段なら寒々としている
そんな時間なのに、

なにか 今日は、

ふんわりとした
ぬくもりすら感じさせる


おだやかさ があります。









都内にある、
広々とした この 公園 にも、

ポツポツと
外灯が灯りはじめ、



静かに藍色に
そまっていく空には、

チラチラと
星が灯りはじめました。





公園の入口の向こうに
見えている からは、

金曜の仕事を終えた人々の
家路へ急ぐ姿が、

遠く静かに ゆれて見えます。










そんな、

人の行き来も
ほとんどなくなった、

夕方の公園の片すみで…



ベンチに 静かに座りこんでいた、
仕事帰りの会社員らしい青年 が…


そのとき ハッと、

我に返ったように
顔を上げたのでした。








青年の名前は、『 ふき 』


ふき は、ボンヤリとする頭のまま、

静かな夕方の空を
見上げました。




自分は、居眠りでも
していたのだろうか…?


なにか、大事な用事を
忘れてしまっているような


うっすらとした
不安感があります…







…あ。

オリオン…





まだ少し明るさの残っている
夜空を見上げていた ふき は、

南の空に、ナナメに3つ
行儀よく並んだ星を見つけて、

そんなことを つぶやきました。



「オリオン座」 は、

最も明るいと言われる1等星を2つ、

それについで明るいと言われる
2等星を5つも持つ、

とても明るく 美しい、
冬の代表的な星座の1つです。








子供のころは、

お小づかいをためて買った
天体望遠鏡を片手に、

星空を眺めてまわった
ふき でしたが…



最近は 仕事の忙しさなどで、

ゆっくり夜空を見上げる心の余裕も、
無くなってしまっておりました。



でも、

今こうして
なつかしい星座に再会して、

なにか、旧友に出会ったような
おだやかな心地
が広がり…



ふき は、先ほどまでの
「漠然とした不安感」 が、

サラサラと崩れて

消えていくように
思えるのでした。











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